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田宮慎/秋田県立増田高等学校

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実施日時・参加者
平成27年9月8日 5名/芸術・文化系列3年生

内容
地域資産のリデザインや、コミュニティデザインに携わってきた講師が、自身が手がけた雑誌などを紹介します。地域をテーマにした課題研究に取り組む生徒たちが講師との対話を通じて、地域との恊働について考えるワークショップをおこないます。

 


芸術家派遣事業の第3回目は田宮慎さんをお招きし、秋田県立増田高等学校を訪問しました。今回授業を受けるのは3年生の芸術・文化系列専攻の5名です。授業冒頭に講師の田宮さんは、生徒たち一人一人に質問をしていきました。「出身は?」「なぜこの学校を選んだの?」「将来は何を目指しているの?」「この町は好き?」5名の生徒たちは自分たちの思いや考えを語りました。生徒たちの話を聞きながら、田宮さんは深くうなずきます。田宮さんもまた生まれ育った秋田のことや、これまで関わってきた仕事の話をしました。そして自身が手がけた雑誌をいくつか紹介しました。
現在5名の生徒たちは地域との恊働をテーマに課題研究に取り組んでいます。それに向けた授業では地元企業の見学などもおこなっています。昨年作ったまち歩きマップの効果や今年やりたい案など、田宮さんは生徒たちに質問を投げかけ、皆で話をして企画案をより具体化していきました。そして生徒たちにフリーペーパー『のんびり』が配布されました。田宮さんは『のんびり』のコンセプトについて、「県外の人が『何それ?』と思うものや自分たちが良いと思うものを知ってもらうため」と話します。その後話題は9号での特集「秋田弁でしか伝えられないこと」に及びました。かつて増田地区東部の西成瀬(旧西成瀬村)では明治時代から昭和にかけて標準語教育がおこなわれ、「標準語村」とも呼ばれたそうです。その教育とは学校内での方言が禁止され、校外に出たら方言を話してもよい、というものでした。『のんびり』の編集長藤本智士さんは施策とそれによりもたらされた効果など、長きに亘った標準語教育の「裏」に着目し、当時のことを知る人などを取材しました。村人が方言と標準語の二カ国語になり、コミュニケーション能力が円滑化したとして、標準語教育は対話をするためのユニークな教育であった、と田宮さんは話します。その他『のんびり』で特集された寒天や画家の池田修三など、話は膨らみます。
田宮さんは生徒たちに課題研究のアドバイスをしました。地元と向き合うことやもの・場所への思い入れに着目すること、そして一歩踏み込んで人を紹介すること、などポイントを挙げます。人から人へ「体験」が伝わり、地域がどんな場所で、どんな魅力があるかについて違った角度から再考する−−課題研究が内包するテーマを示唆し、授業は終わりました。田宮さんの授業は課題研究の取り組みに対する視野を広げるとともに、次のステップに向かう生徒たちに温かくも力強い励ましを与えたのではないでしょうか。

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講師略歴
1976年秋田県生まれ。東京で店舗デザインなどに関わった後、2010年に秋田市で「casane tsumugu」設立。同団体で秋田〜北秋田の地域資産をリデザインする活動に携わる。2012年に創刊した秋田県発のフリーペーパー『のんびり』の編集者。2014年の「大館・北秋田芸術祭」ではアートディレクターを務める。