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船橋陽馬/秋田県立大館高等学校

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平成27年10月8日 10名/芸術部(写真班)
内容
写真制作をする上で参考となる写真作品の紹介などをレクチャーします。授業では制作の動機付けやコンセプトに重点を置き、自身の興味や思考をアウトプットすることを目的にワークショップを実施します。実際に学校の敷地内で写真を撮影しプリントまでおこない、講師と生徒が双方向に参加する講評をおこないます。

 


第15回目の芸術家派遣事業は講師に船橋陽馬さんをお迎えし、秋田県立大館高校にておこなわれました。授業開始前から船橋さんは廊下に出て、授業に参加する芸術部の10名を出迎え、簡単なヒアリングをしていきます。「写真はいつから撮っているの?」「カメラは持っている?」生徒たちが笑顔で質問に答えている姿が見られました。
授業は船橋さんの自己紹介から始まりました。秋田で生まれ育ち、高校卒業後は東京のファッションの専門学校に通いながら花屋で働き、街なかでスナップショットも撮影していたと言います。その後名古屋とロンドンでの生活を経て、「写真で食べていく」ことを決め、美術大学で写真を学んだことを話しました。2012年に出身地である秋田県に戻った後は、フリーランスのフォトグラファーとして活躍しています。
船橋さんはこの日、1人の写真家を紹介しました。秋田発のフリーマガジン『のんびり』のカメラマンを務める浅田政志さんです。浅田さんの代表作『浅田家』の写真を見せながら、「どれだけ思いを込めて、自分が生まれ育ってきたバックグラウンドを表現し、それを人に伝えているのか」と彼の写真が持つ魅力について説明していきました。また、船橋さんが浅田さんと出会い、交流が生まれた話など、写真を通じた「つながり」を語りました。

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「将来の夢は何?」船橋さんから生徒たちにストレートな質問が投げかけられました。公務員、介護福祉士、ファッション関係、美術関係…様々な夢が生徒から語られました。ひとは皆「表現」することで仕事し、それで食べていく、と船橋さんは話します。また、今回のワークショップでは「表現」手段の1つとして「自分が満足の出来る写真」を撮ろうと呼びかけました。今回船橋さんが生徒たちに出したテーマは「この高校に対する想い」です。撮影場所は学校の敷地内であればどこでもOK、ということで、生徒たちはデジタル一眼レフを片手に、教室を出て校内を歩き回ります。玄関や階段…教室の窓から外にレンズを向ける生徒もいます。時に他の生徒と撮影スポットや露出の具合などを相談し合います。

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撮影が終わった後は、自分のベストショットを1枚選び、プレゼンテーションをしました。ある生徒は校門を入ってすぐに見える正面玄関を撮りました。「玄関はどんな日でも『ゴール』だった」と語る生徒に対し、「同じ被写体を『定点』で撮り続けても面白いね」と船橋さんからアドバイスがありました。またクラスメイトたちが集う放課後の教室を撮った写真には、「人との関係性が表現されている」とコメントしました。全ての写真の講評を終えた後、船橋さんは「撮り続けることで『個』が立つ」と全員にアドバイスしました。
2016年には大館高校と大館桂高校、大館工業高校の3校が統合し、大館桂桜高校が開校します。今年度末で閉校する大館高校に対する思い出や感情が写真に投影されるとともに、生徒から語られる言葉によって写真の重みや説得力が増してくるのを感じました。今回の授業ではただ技術を学ぶだけでなく、自分の想いや考えを伝える「表現」としての写真を再考する機会になったのではないでしょうか。

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講師略歴
1981年男鹿市出身(旧若美町)出身。高校卒業後、上京。東京、名古屋、ロンドンの花屋で仕事をし、帰国後多摩美術大学に入学。在学中よりフォトグラファー神林環氏に師事。大学卒業後よりフォトグラファーとして雑誌・広告等で活動。2012年より秋田に戻り、ANA機内誌『翼の王国』や雑誌『BRUTUS』、秋田フリーマガジン『のんびり』や「kamikoaniプロジェクト」のポスター等の撮影をする。現在は根子集落に住み、マタギの文化、山間部の人々の暮らしを記録し続けている。