MENU

コンドウダイスケ/秋田県立聾学校 高等部

16kondo01日時・参加者
平成27年10月20日 10名/全校生徒
内容
写真制作をする上で参考となる様々な写真作品や聴覚障害を持ったカメラマンの作品などを紹介します。授業では制作の動機付けやコンセプトに重点を置き、自身の興味や思考をアウトプットすることを目的にワークショップを実施します。実際に一眼レフカメラを使って写真を撮影し、講師と生徒が双方向に参加する講評をおこないます。


第16回目の芸術家派遣事業は講師にコンドウダイスケさんをお迎えし、秋田県立聾学校高等部にておこなわれました。
まず初めにコンドウさんが手話で、自分の名前を紹介しました。次いで自身の経歴について、学校の教諭の手話通訳を介して生徒たちに伝えていきます。これまでにコンドウさんが撮影した写真が映し出されたスクリーンに、生徒たちの視線が注がれます。
この日の授業のテーマは「カメラから日常を見つめてみよう」。コンドウさんは写真について、「普段見えないものに気づかせてくれる」と話しました。
撮影のワークショップに入る前に、コンドウさんは3名の写真家を紹介しました。この日用意された写真集は、浅田政志さんによる『浅田家』と小野啓さんの『NEW TEXT』、齋藤陽道さんの『感動』です。コンドウさんはテーマとして挙げた「日常」に沿って、それぞれの写真家の特徴や個性について説明しました。生徒たちは写真集を手に取って眺め、思い思いに感想を述べていました。

16kondo02 16kondo03 16kondo04

いよいよ撮影ワークショップの開始です。生徒たちはカメラを携え、ペアになった生徒と相談し合いながら、教室の外へ歩き出しました。雨模様だった天候が回復し、次第に陽が差してきた模様を見て、外へ出る生徒もいます。いつも自分たちが必ず通る玄関や、遊具のある中庭、見晴らしのいいグラウンド…生徒は自分たちが見慣れた風景にレンズを向け、切り取りたい風景を探していきます。ある生徒は遊具の上でポーズを取る友人を撮りました。被写体となった生徒も生き生きとした笑顔をカメラに向けます。同じ風景、被写体を撮影する時にも、アングルや方向を変えるなど試行錯誤しながら、撮影に取り組んでいる様子が見られました。時折講師のコンドウさんやアシスタントの船橋陽馬さんらに、絞りやシャッタースピードの調整の仕方について質問している生徒もいます。積極的にワークショップに参加する生徒の姿からは、自分のイメージやコンセプトを写真で表現することを楽しんでいる様子が伝わってきます。

16kondo05 16kondo06 16kondo07

撮影した写真はパソコン上で確認し、生徒は各自で1作品を選定しました。講評では選定した写真について、1人1人が作品のコンセプトや撮影で工夫した点、そして撮影を通じて気づいた点を発表しました。生徒たちによるプレゼンテーションで印象的だったのは、季節や時間の移り変わりによって変化するものを感じ取ったという意見が多く聞かれたことです。紅く色づき始めた葉やトンボが秋の到来を感じさせること、夕刻を迎えつつある空から差す陽光の向きや強さが変わること—日常の風景に見いだした新鮮さを語る生徒たち1人1人に、コンドウさんはコメントやアドバイスを与えていきます。
授業の最後にコンドウさんは写真について、「周りの人と関わるためのきっかけ」ではないかとその魅力を語りました。友人や先生を被写体として撮影することや、撮影した写真を人に見せ、それについて自分で語ることなど、今回の授業で得た体験は、自分の「日常」を彩る周囲の人との対話を深めるきっかけを生んだのではないでしょうか。


講師略歴
1983年、秋田県北秋田郡合川町(現・北秋田市)生まれ。電気通信大学卒業後、舞台制作・営業職等を経て2007年より独学で写真を始める。2009年に秋田に戻り、写真スタジオに勤務。商品撮影、スクールフォトなどを主に手がける。2015年に独立し、Photo Office-Kを設立。商業写真を中心に活動。また、舞台写真撮影をライフワークとしている。