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栗原良彰/秋田市立土崎中学校

24kuribara01日時・参加者
平成27年11月14日 30名/美術部
内容
絵画、彫刻、立体造形、映像、写真、インスタレーションなど多様なスタイルで作品を手がけている講師による自身の作品解説や活動紹介をおこないます。生徒たちの身近にあるものを使ったコラージュや、様々な素材を使用したミクストメディアの手法を用いて、実際に生徒が作品を制作し、完成後に講師による講評をします。

 


第24回目の芸術家派遣事業は、講師に美術家の栗原良彰さんを迎えて秋田市立土崎中学校にておこなわれました。
栗原さんによる講話で授業は幕を開けました。僕のことは「Dr.(ドクター)」と呼んでください、と栗原さんの一言。栗原さんは「博士」論文の題目は「テーマパーク」についてのものだったそうです。テーマパークと遊園地の違いを考え、前者には「テーマ」があるということに気づいたと話します。そこから研究を展開し、日本中のテーマパークをリサーチしました。リサーチ結果に基づきいくつかの系統にカテゴライズしたテーマパークについて、栗原さんは事例を挙げてそれぞれの特徴や魅力を生徒たちに説明します。そしてテーマパークの作り方として5つのポイントを挙げました。
1,不必要な要素を排除して、外部を遮断すること
2,展示物を鑑賞することから、体感することへと変える
3,入り口を効果的に使う
4,展示物それ事態に、その展示環境をつくらせる
5,展覧会のコンセプト力が、全てに影響する
栗原さんが自身の作品を紹介しました。映画作品《strange right hand》と、映画中に登場するシーンをモチーフにインスタレーション作品として展開された《F.E.S.-Fantastic Eccentric Show-》です。「インスタレーション」という手法を初めて聞いた生徒も多かったかもしれません。
後半はミクストメディアの手法を用いて、テーマパークのマケット(模型)作りに挑戦しました。生徒たちが制作に入る前に、栗原さんがデモンストレーションをおこないました。多くの生徒が素材として牛乳パックを持ってきているのを見て、「牛乳」をテーマに設定しました。牛乳から連想される味や栄養・重要性、牛、加工品など、栗原さんがテーマパークの構成要素となりそうなものを具体的に言葉にし、メモ用紙代わりの段ボールに書き出しました。「中心にはモニュメントが欲しいね」「じゃあ牛乳の噴水にしようか」生徒たちと対話をしながら、栗原さんは画用紙を切り抜き、牛乳瓶を模した噴水のモニュメントを作りました。周りを森、砂漠、海、3つのエリアが囲みます。

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6グループに分かれて制作を開始しました。栗原さんのデモンストレーションを参考に、イメージを膨らませて段ボールや裏紙にメモしていきます。考えたことを具体的な言葉にして伝えることで、グループ内でイメージを共有するとともに活発に意見交換をし合う姿が見られました。次第に生徒たちは制作に着手し、全体の構成や施設内の設備などのアイディアを出し合いながら手を動かします。いつの間にか各グループともリーダー的な役割を担う生徒が現れ、作業指示を他の生徒に出す姿が見られました。グループワークを通じてコミュニケーションが活発になり、自発的にグループ内での役割分担をおこなっているように感じられます。それと同時に、協力し合いながら互いの個性やアイディアを尊重出来る場が生まれているような印象を受けました。

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完成後に各グループがプレゼンテーションをしました。栗原さんは生徒の発表を聞きながらマケットをじっと眺め、「配置、対比が面白い」「全体の構成力が高い」など、出来上がった6つのユニークなテーマパークそれぞれに講評の言葉を与えました。
最後に栗原さんは、ものを作る上で「対象をよく見ること、知ろうとすること」の大切さを生徒たちに強調しました。そして「対象に興味を持てば持つほど、深くまで探れる」と続けます。「テーマパーク」という対象への関心を追求し、多様な手法での表現に邁進する栗原さんの講話とワークショップは、美術を学ぶ生徒たちを鼓舞し、個々人の豊かな個性や表現力を引き出すきっかけとなったように思われました。

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講師略歴
1980年群馬県出身。「アーティストは、自由の体現者であるべきだ」という考えを持ち、特定の表現スタイルにこだわらず、彫刻や絵画、インスタレーション、ビデオ、パフォーマンス、陶芸、映画など、あらゆる表現方法で意欲的に制作活動を続ける。2014年の「大館・北秋田芸術祭」で大館市大町の商店街にモニュメント《デッカい秋田犬》を制作。