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立木祥一郎/秋田県立比内養護学校高等部

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平成27年11月16日 14名/高等部
内容
商品開発や製品デザインをテーマにしたパッケージやPR方法などを学びます。講師のレクチャーとともに、美術部の生徒たちによる地域の特性を活かした作業(木工、陶芸、縫製)や地域サービス(カフェ運営)、農園芸の商品や活動をワークショップ形式で学びます。地域の特性をより浸透させ、発信するためのブランディングやPR。デザインなどを実際の商品に反映させることを目的としています。


第25回目の芸術家派遣事業は、講師に立木祥一郎さんを迎え、秋田県立比内養護学校の高等部にておこなわれました。立木さんは地域に根ざした商品やスペースを活かしたデザインやブランディングなどで、地域のソーシャルデザインを手がけています。地場産業を活かした作業学習に取り組む生徒たちに向け、講話では自身が手がけた「てつっこ」(南部鉄器のおきあがり小法師)を例に挙げ、商品の展開方法について話しました。横断歩道、公園、雨の日など、様々なシチュエーションに置かれたてつっこの様子をカメラが追いかける、というコンペティションのために作られたプロモーション映像を生徒に見せました。てつっこがまるで一つのキャラクターであるように演出され、親しみやすさや可愛らしさなど商品の特性を活かしたプロモーションになっています。

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ワークショップでは地元のスーパーマーケット「いとく」で「自分たちで作って売りたいもの」や「やってみたいこと」をテーマに、5つの作業班ごとにアイディアを出し合うグループワークをしました。ワークショップ開始前に立木さんは、「大館にしかないものは?」と生徒に質問しました。バターもち、曲げわっぱ、樹海ドーム…生徒たちは元気よく、食品や伝統工芸品、観光名所など地元の名物の名前を挙げます。それを受けて立木さんは「自分たちが一番自慢したいこと、自分たちでしか出来ないことを」と強調しました。

ゼロダテのスタッフもグループワークに参加してみました。このグループは縫製班。現在は染め、刺し子などの技術を使って、コースターやティッシュカバー、ヘアゴムなどを作っているそうです。まずは、自分たちが普段作業学習でおこなっているものをヒントに、新しい商品を考えました。早速、グループ全員で向かい合って、アイディア出しを始めます。
「作ってみたいものは?」−−エプロン、ジャージ、パーカー、ネクタイ、ブレスレット…日用品とファッションの商品を中心に、列挙するのにいとまがない様子です。次に自分たちが学んだ作業技術のPRや、それを活かしたサービスの観点から考えてみます。
「いとくでやってみたいことは?」−−染め物、刺し子、クロスステッチをお客さんが体験できるようにしたい。普段自分たちが学んでいる技術を実体験して欲しいという意見が出ました。
「縫製以外の作業でやってみたいことは?」−−植物で石けんを作りたい。曲げわっぱでジグゾーパズルを作りたい。

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グループワークを通じて他の生徒に刺激を受け、個々人の想像力が更に喚起されているように感じられました。さながら開発チームのブレインストーミングを見ているようです。立木さんは5つのグループの話し合いを笑顔で見守ります。
グループワークで出たアイディアを、各班の代表者が発表しました。各自が出すアイディアはどれも新鮮でユニークです。その一部をご紹介します。
農園芸班の「カレーたんぽ、豚キムチたんぽ」、陶芸班の「お城のミニチュアの陶芸品」。地域サービス班の「ケーキたんぽセット」。木工班の「曲げわっぱ形のチョコレート」。縫製班「学校で作ったバラで染め物をしたい」。
…次々に飛び出る斬新なアイディアに対して、立木さんは「学校のオリジナルでぜひ作ってほしい」「きっと大館の名物になるよ」など、各商品、サービスにコメントをしていきます。他の生徒からも活発に質問や意見が飛び交い、プレゼンテーションは大いに盛り上がりました。
授業の最後に立木さんは、生徒たちのことを「十分に商品開発を出来るチーム」と評し、太鼓判を押しました。それを聞いた生徒たちの表情は晴れやかです。地元のスーパーマーケットをにぎわせるような、新たな大館の特産品が生まれる日はそう遠くないかもしれない−−そんな予感を抱かせるような授業でした。

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講師略歴
1962年東京都生まれ。東北大学文学部出身。川崎市市民ミュージアム映像部門学芸員や青森県教育庁総合芸術パークプロジェクトチーム学芸員(のちに青森県美術館整備室学芸員)、青森県弘前地域技術研究所主任研究員を経験したのち、2008年に合同会社「tecoLLC」を設立。地域に根ざした商品やスペースを活かしたデザインやブランディングなどで、地域のソーシャルデザインを手がける。2014年の「大館・北秋田芸術祭」ではアートディレクターを務める。