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湊哲一/能代市立能代東中学校

28minato01日時・参加者
平成27年11月25日 46名/2年生
内容
地元出身の講師が、自身の活動や能代が木都であることの意義を説明し、地域の青森ヒバを使用した箸づくりワークショップをおこなう。授業では昔から使用されている鉋などの大工道具をレンタルし、実際に使用することで、ものづくりを通して木やふるさとについて様々な観点から体験し学ぶ。

 


第28回目の芸術家派遣事業は講師に湊哲一さんを迎え、能代市立能代東中学校で実施されました。授業開始前に湊さんは、アシスタントの宮薗なつみさんと桑原憂貴さんとともに、授業で使う鉋(かんな)や万力、紙ヤスリなどの道具を机の上にセッティングしていきました。今回の授業で作る「箸」のための木型と材料も並べ、生徒たちを待ちます。
今回は2年生2クラスが授業に参加しました。技術室に入ると、目の前に並べられた道具や材料に目を惹かれている様子です。湊さんは自己紹介を兼ね、自身が関わる「能代春慶再現活動」について説明しました。能代春慶とは漆塗りの工法を用いた伝統工芸品です。かつて能代は岐阜県の飛騨、茨城県の栗野とともに日本三大春慶に名を連ねていましたが、2006年以降後継者が途絶えています。湊さんと宮薗さんは文献などを元にしつつ現代の技術や工法を活かして、能代春慶塗の復活を目指す活動を続けています。実際に能代春慶で作られた調度品が紹介されました。つややかさを感じさせる淡い色合いが目を惹きます。経年により金色に近づくとも形容されるのが納得出来ます。今回のワークショップでは、能代春慶塗と同じ青森ヒバを使って箸作りに挑戦します。
「鉋を使ったことがある人は?」湊さんが尋ねると、1人の男子生徒が挙手しています。鉋の名前を聞いたことはあっても、使用するのは今回が初めての生徒が多いようです。湊さんは生徒たちに鉋の部位や使い方の説明をしていきます。また、使うときの姿勢や手を動かす速さなどのコツもアドバイスしていきます。

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実際に手を動かして説明する湊さんの手元を真剣に見つめる生徒たち、ワークショップが始まるとすぐ道具を手にし、制作を始めました。用意された木型に、材料となる青森ヒバをはめ込んで鉋をかけます。アドバイスを参考にしつつ、個々人が自分の力や速度に合わせて加減を調節していきます。隣で鉋がけの順番を待つ生徒は、クラスメイトの手元をじっと見つめています。「もう少し勢いよく鉋をかけた方が良いんじゃないの?」生徒同士で互いに声をかけ合う姿も見られました。限られた時間のなかで箸の完成を目指し、生徒たちは一生懸命手を動かします。片方の箸が出来上がり、ヤスリがけの作業を始める生徒も次第に出始めました。作業がある程度進行したところで、湊さんから箸の長さについて説明がありました。「一咫(ひとあた)」初めて聞く言葉が出てきます。一咫とは親指と人差し指で直角を作った際にそれぞれの指を結んだ長さのことです。自分の手の大きさに合った箸の長さは一咫×1.5倍(一咫半)という昔からのいわれに倣い、ワークショップでも自分の「一咫」を計って箸の長さを調節しました。生徒たちの箸が続々と完成に近づいてきました。仕上げにクルミの実から採った油を箸に塗装します。これにより箸に滑らかな質感と光が加わりました。
授業から数日後に、生徒の家庭ノートには帰宅してから家族に箸を見せ自慢した様子や「実際に箸を使ったら木の良い香りがした」などの感想が書き込まれていたと学校の先生からご報告がありました。自分で作った一膳の箸を手にし、笑顔を浮かべる生徒たちの姿が目に浮かびます。

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講師略歴
1977年秋田県能代市に生まれる。1996年大学入学の為上京。2000年建築系の専門学校に入学。2002年に株式会社ヴィンチに入社し、おもにインテリアの設計、デザインを行う。2005年に注文家具屋「MINATO FURNITURE」を設立。開催した展示会に2006年「寺家7 木工芸家7人展」(あざみ野アートフォーラム)、2007年で行われた「アート&クラフト寺家回廊」(横浜市青葉区寺家町)、2008年「寺家7 木のある暮らし」(あざみ野アートフォーラム)など。2009年に個展「MINATO FURNITURE作品展 色々な家具たち」開催。2014年の「大館・北秋田芸術祭」では旧浦田小学校にて間伐材を使ったフォトフレーム制作のワークショップをおこなう。