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村山修二郎/秋田県立比内養護学校かづの分校中学部

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平成27年12月14日 14名/全校生徒
内容
講師が発案した造形手法の「緑画」に挑戦します。授業では校庭の草木のほか柿渋と渋墨を画材に使い、草木の色素が次第に変化していく様子の鑑賞も楽しみます。

 

 

 

 


第30回目の芸術家派遣事業は講師に村山修二郎さんを迎え、秋田県立比内養護学校かづの分校の中学部の生徒を対象におこなわれました。
村山さんが生徒たちに「緑画」の説明をしました。「緑画」とは村山さんが考案した造形手法です。生の植物の草・花・実を手で直接紙や布、壁などに擦り付けて描画していきます。村山さんが緑画のデモンストレーションをおこないました。授業開始前に学校の敷地内で採取した植物を、支持体となる秋田杉の板に擦り付けて行きます。少し生徒たちの目は真剣です。また、この日は自然物(主に植物)を筆の代わりにし、柿渋や渋墨をつけて描く手法にも挑戦しました。村山さんは青っぽさもあるような黒色の渋墨を細い枝先につけ、板に数本の線を描きました。渋墨の垂れやかすれによって、線に肥痩が出ています。筆の代わりにする植物の形状だけではなく、描く人の力加減や手を動かす速さによって色々な表情の線が生まれそうです。
制作に使う植物を採取するため、村山さんと生徒たちは校舎の外へ出ました。大分落葉は進んでいますが、画材になりそうな植物は豊富にありそうです。例えば敷地内に植えられた木には鮮やかな紅い実がつき、坂の斜面には楕円形を描くような大きな葉が重なり合うように生えています。また、中には松ぼっくりを拾っている生徒もいました。それぞれの植物が、どのように使われるのかが気になります。

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この日村山さんが生徒たちに与えた制作テーマは「秋田鹿角の自然」です。生徒たちの頭の中には、どんな画が浮かんだのでしょうか。生徒たちは自分で採取した植物を手にし、自由に制作を開始しました。まず、どんなものがあるのかを確認するように板に並べている生徒もいます。大きな葉を手で細かくちぎり、板に擦りつけると生っぽさのある緑色が画面に現れました。少し黒みがかっているけれど、どこか淡さも感じられます。小分けにして配布された柿渋と渋墨の使い方は生徒によって様々でした。枝の先端で線状に描く、葉の表面を使って面的に色を載せる、松ぼっくりの鱗片につける…実際に植物に触れ、その形状や質感を感じ取ることで、多様な描法が生まれているように思いました。重ねられた線と色が画面全体に広がっていきます。

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作品が完成したあとに、全員で記念撮影をしました。生徒たちは自分の作品とともに写真に写ります。ずらりと並んだ14枚の作品。村山さんが一人の生徒に、何を描いたのかを尋ねました。生徒は「地元八幡平の季節、自然、全部が入っている」と答えました。じっと絵を見てみると、中央にはなだらかな稜線の八幡平が描かれ、その上には月と太陽があります。そして周囲には桜や紅葉、雪が舞っています。モチーフの輪郭は柿渋と渋墨ではっきりと描かれ、それぞれの形が目に飛び込みます。印象的だったのは、帯状に広がる数本の柿渋です。それについて何を描いたか聞いてみると、「風」「オーロラ」との答えがありました。
授業の終わりに、使った植物を全員で集めました。見落としてしまいそうな小さな紅い実や植物に付着していた土も、こぼれ落とさないように丁寧に拾い集める姿が印象的でした。
柿渋や緑画手法で描いた絵の色彩は、時間とともに変化していきます。自分の絵が変化していく様子を目にしたとき、生徒たちはどのように感じるのでしょうか?いつかその感想を聞いてみたいです。14人の作品は学校内に展示される予定です。

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講師略歴
1969年東京都生まれ。2011年東京芸術大学大学院美術研究科絵画科壁画博士前期課程修了。現在は京都造形芸術大学こども芸術学科専任講師。2008年に自身が発案した「緑画」を使って制作するとともに、各地でプロジェクトを展開する。主な展示、プロジェクトに「TRANS ARTS TOKYO 2013」(東京都千代田区)、2014年の「大館・北秋田芸術祭」(秋田県)など。