MENU

サイトウタクヤ/秋田県立能代養護学校小学部

35saito01日時・参加者
平成28年1月26日 26名/全校生徒
内容
シンガーソングライターである講師による楽曲披露と、作詞のワークショップをおこなう。ワークショップでは、生徒が自分の名前や好きなもの、人など、身近にあるキーワードを出して詞を作り、それに講師が即興で曲をつけることで、言葉の持つリズム感を楽しむとともに、楽曲が生成されるプロセスを楽しむこともねらいとする。

 


第35回目の芸術家派遣事業は、講師にシンガーソングライターのサイトウタクヤさんを迎え、秋田県立能代養護学校小学部にておこなわれました。小学部の生徒たちが集まった音楽室には、キーボードや木琴、ドラムセットなどが並びます。廊下から楽しげな音が聴こえてきました。軽やかな音色を奏でるアコースティックギターやメロディオン、タンバリンを携え、この日の講師であるサイトウタクヤさんと、アシスタントのシーナアキコさん、tkoさんが教室に入ってきました。生徒たちからは自然と笑みがこぼれ、手拍子で3人を迎え入れました。
サイトウさんは自身が作詞作曲した「街へ、その先へ」を披露しました。優しく語りかけるような声と軽快なメロディで、生徒たちを音楽の世界へと誘います。アップテンポの楽曲は音に身を委ねていると心地が良いのでしょうか。身体を揺らしながらリズムを取る生徒もいます。次に披露されたのは、アニメ「魔女の宅急便」の主題歌「やさしさに包まれたなら」です。DVDやTVで観たことがある生徒も多いようで「この歌、知っているよ」と話す生徒のほかにも、「『魔女の宅急便』の本を読んだよ」と言う生徒の姿も見られます。「いい曲をずっと大事にしていけたら」とサイトウさんは歌い終えた後に、そう話しました。次の曲に移る前に、サイトウさんは2枚の紙を取り出しました。その裏には何かのイラストが描かれているようです。「これは皆が好きなキャラクターなんじゃないかな…?」と話すサイトウさん。生徒たちはその答えが気になるようです。紙を裏返すと、そこにはアニメ「妖怪ウォッチ」の人気キャラクター「ジバニャン」と、「アンパンマン」のイラストが描かれていました。生徒たちは歓声を上げます。サイトウさんが子どもの頃からアンパンマンは人気キャラクターであり、「皆を助けるヒーロー」だと話し、テーマソング「アンパンマンのマーチ」を披露しました。普段から聞き慣れたメロディに、元気よく歌声を乗せる生徒が多かったです。また、マラカスや鈴、タンバリンなどを手にして、音楽に合わせて音を鳴らす姿を見ていると、生徒たちの緊張が徐々にほぐれていくのが伝わります。講師、生徒たちはともに、弾けるような笑顔で高らかに曲を歌い上げました。教室は熱気に包まれています。

35saito02 35saito03 35saito04

さて、ワークショップでは、生徒たちが歌詞を考える番です。今回は自分たちの「名前」と「好きなもの」を使って作詞に挑戦します。生徒たちには1枚ずつ白い紙が配られました。「これに自分の名前と、好きなものを書いてみて」とサイトウさん。自分の名前はすぐに書けたものの、「好きなもの」を書き悩んでいる生徒が多いようです。学年ごとのグループに分かれた生徒たちは、学校の先生や授業に同行したゼロダテのスタッフを交え、「好きなもの」を一緒に書き出していきました。「食べ物はどうだろう?」「好きなゲーム、アニメは?」サイトウさんら3人も、各グループの様子を回りながら笑顔でアドバイスを与えます。「出来た!」書き上げた生徒たちが続々と現れてきました。
いよいよ、詞の発表です。生徒たちは自分の名前と好きなものを書いた紙を持ち、全員に見せました。サイトウさんはそのひとつひとつに即興で曲をつけていきます。「めろん」「しゅうまい」「すし」…好きな食べ物を書いている生徒が多いようです。「『めろん』って、なんだかおしゃれな響きがあるね」サイトウさんはその語感が生むリズムや、そこから他の言葉へと連なり派生していくメロディを感じ取り、ギターの音と自分の声で表現していきます。「好きなもの」は食べ物だけではなく、「ことしょうぎく」「スーパーマリオ」といった憧れの存在や、「ダンス」「うた」といった趣味も書かれていました。「うた」と書いた生徒に対し、サイトウさんは「僕も歌が好きだよ、こうやって皆と、人と繋がれる」と嬉しそうに話し、ギターを奏でながら「うた」で応えました。
授業の最後にサイトウさんは「なにげなく想っていることや伝えたいこと、その言葉が『うた』になるんだよ」「また、皆で一緒に歌を作りたいし、歌いたい」と話しました。この言葉に対してみせた生徒たちの嬉しそうな表情は、授業で体感した「うた」の面白さや楽しさを、雄弁に物語っているように感じられました。

35saito05 35saito06 35saito07


講師略歴
1976年秋田県大館市生まれ。17歳の頃にギターを購入し、以後オリジナル曲を作り続ける。上京を機に大学の音楽サークルにてバンドを結成。バンド解散後はソロとして音源制作やライブ活動を行い、アルバム『rain fruits music』(2006年、iML)、『ハートランド』(2007年、自主制作)、2ndアルバム『GOLDEN MAGIC』(2009年)などを発表。様々なコンピレーションアルバムにも参加するほか、多くのミュージシャンのサポートもおこなう。2015年までスタッフを務めたゼロダテには、オリジナル楽曲を提供している。