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サイトウタクヤ/秋田県立能代養護学校高等部

36saito01日時・参加者
平成28年1月26日 42名/全校生徒
内容
シンガーソングライターである講師による楽曲披露と、作詞のワークショップをおこなう。ワークショップでは、生徒が身近な風景や将来の目標、普段考えていることなど、キーワードを出して詞を作り、それに講師が即興で曲をつけることで、言葉の持つリズム感を楽しむとともに、楽曲が生成されるプロセスを楽しむことをねらいとする。

 

 

 


第36回目の芸術家派遣事業は、講師にシンガーソングライターのサイトウタクヤさんを迎え、秋田県立能代養護学校高等部にておこなわれました。キーボードや木琴、ドラムセットなどが並んだ体育館。昼休みの間にリハーサルをしていた、サイトウタクヤさんとアシスタントのシーナアキコさん(ピアノ、木琴、メロディオン)、tkoさん(ドラム)の奏でる音に耳を澄ませ、演奏している姿を見に来る生徒もいました。
授業には高等部の生徒42名が集まりました。目の前に並ぶ楽器を見て、「すごいね」と生徒同士で会話する姿も見られます。ドラムセットに近づき「かっこいいですね」と声をかけ、佐藤さんが笑顔を交わしあう生徒や、ギターを持つサイトウさんの傍らで楽器をじっと見つめてわくわくしたような表情を浮かべる生徒…体育館はまるでライブ開始直前の会場のようです。
サイトウさんは自身が作詞作曲した「街へ、その先へ」を披露しました。これは2010年の「ゼロダテ美術展」のテーマソングです。演奏前にサイトウさんは「好きな楽器、興味のある楽器の近くで聴いて良いよ」と生徒たちに声をかけました。生徒たちはわっと楽器に駆け寄ります。士気を高めるようなアップテンポの楽曲に、自然と手拍子が湧き起こり、他の生徒と肩を組んで身体を揺らしたり、即興でダンスを踊りだしたりする生徒もいました。次に披露されたのは、荒井由美さんの楽曲「やさしさに包まれたなら」です。歌いだしの歌詞を聴き、この曲を主題歌としたアニメ映画「魔女の宅急便」を即座に思い出した生徒も多いよう。サビの部分を自分から口ずさむ生徒も多く、場に一体感が生まれ始めました。
二曲を演奏し終えた後、サイトウさんは自身の肩書きである「シンガーソングライター」について、「自分が想ったこと、身近なことを詞に書いて歌にする」と話しました。「詞を書く」と聞いて、生徒たちはどのようなことをイメージしたのでしょうか。この後のワークショップでは、生徒一人一人に実際に作詞を体験してもらいます。

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作詞ワークショップは、1つの曲をAメロ、Bメロ、サビ、コーラスの形を基本にし、全8パートに分けておこなわれました。それぞれのパートに、「景色、風景」や「食べ物」「愛」「夢、未来」「目標」などテーマが与えられました。今回、生徒は6名ずつ7グループを作り、学校の先生たちも1グループとしてワークショップに参加しました。各グループ、自分たちが詞を書くテーマを選び、早速話し合いを開始。どのグループも生徒同士で相談し合い、書き悩んだ時にはサイトウさんらがアドバイスを与えます。生徒たちは自分の考えや想いを言葉にして、メモ用紙に書き出し始めました。完成した各グループの詞をサイトウさんはじっと眺め、そのオリジナリティやユニークさに微笑ましい表情を浮かべていました。集まった生徒たちの歌詞に、サイトウさんが即興で曲をつけ、ギターを奏でながら歌唱しました。「この言葉はリズム感がいいね」など、時折歌詞にコメントを寄せます。生徒たちが作った詞から一部を取り、オリジナル曲のタイトルが決まりました。「未来の就職 世界の平和 世界一周」…これだけでもリズム感が感じられます。タイトルを聞いた生徒たちはなんだか嬉しそうです。
サイトウさんは生徒たちに、自身が高校2年の時から作詞を始めたことや、ギターを買って詞に自ら作曲した音楽活動の始まりについて話し、「書いた時と歌う時が違う気持ちになる」と、シンガーソングライターの醍醐味のような言葉を語りました。最後にサイトウさんは自身の曲である「会いに行こう」を披露しました。生徒たちは各々、音楽室から持って来たマラカスやタンバリン、鈴などを手にし、音楽に合わせて音を鳴らします。中にはエアギターやエアドラムを披露する生徒や、サイトウさんがマイクを向けると、少し緊張しながらもコーラス部分を口ずさむ生徒の姿も見られました。生徒たちの声や表情、リズムに乗る身体の動き、その一つ一つから新たな「音」が聴こえてくるような授業でした。

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講師略歴
1976年秋田県大館市生まれ。17歳の頃にギターを購入し、以後オリジナル曲を作り続ける。上京を機に大学の音楽サークルにてバンドを結成。バンド解散後はソロとして音源制作やライブ活動を行い、アルバム『rain fruits music』(2006年、iML)、『ハートランド』(2007年、自主制作)、2ndアルバム『GOLDEN MAGIC』(2009年)などを発表。様々なコンピレーションアルバムにも参加するほか、多くのミュージシャンのサポートもおこなう。2015年までスタッフを務めたゼロダテには、オリジナル楽曲を提供している。