MENU

栗原良彰/秋田市立勝平中学校

40kuribara01日時・参加者
平成28年2月27日 15名/美術部
内容
絵画、彫刻、立体造形、映像、写真、インスタレーションなど多様なスタイルで作品を手がけている講師による自身の作品解説や活動紹介をおこなう。生徒たちの身近にあるものを使ったコラージュや、様々な素材を使用したミクストメディアの手法を用いて、実際に生徒が作品を制作する。完成後に講師による講評をおこなう。

 

 

 


第40回目の芸術家派遣事業は、講師に美術家の栗原良彰さんを迎えて秋田市立勝平中学校にておこなわれました。
栗原さんは早速授業のテーマを発表しました。「テーマパークを作ろう!」スクリーンに映し出された文字を見て、生徒たちは不思議そうな表情をしています。テーマパーク、と聞いて、どのような施設を想像したのでしょうか。栗原さんは「こういうものを想像したんじゃないかな?」と、東京ディズニーランドの写真をスクリーンに映し出しました。
一口に「テーマパーク」と言っても、多種多様なバリエーションがあると栗原さんは話します。「歴史・民族系」「外国村系」「宇宙・SF系」…国内のテーマパークの事例をいくつか紹介しました。レクチャーの最後に、総括として栗原さんは「テーマパークの作り方」を生徒たちに示しました。
1,不必要な要素を排除して、外部を遮断すること
2,展示物を鑑賞することから、体感することへと変える
3,入り口を効果的に使う
4,展示物それ事態に、その展示環境をつくらせる
5,展覧会のコンセプト力が、全てに影響する

また、栗原さんは今回のワークショップで重視すべきポイントを生徒たちに話しました。それは「コンセプト力」です。「設定したテーマを深く考えること」「思いを持って対峙すること」…それは今回のテーマパークのみに限らず、ものを作る上で大切なことになる、と栗原さんは強調しました。
後半はミクストメディアの手法を用いて、テーマパークのマケット(模型)作りに挑戦しました。生徒たちが制作に入る前に、栗原さんがデモンストレーションをおこないました。前回栗原さんが講師を務めた授業で、「寿司」のテーマパークを作ったグループがいたことを振り返り、「僕もお寿司をテーマに作ってみます」と手を動かし始めました。海の中に浮かぶ島は、なんとイカの形をしています。「このテーマパークにはどんな施設が必要かな?」栗原さんは生徒と会話しながら、いくつものエリアをパーク内に配置していきます。「お寿司を食べられるエリアがあるといい!」生徒たちも活発に意見を出します。

40kuribara02 40kuribara03

デモンストレーションの後、5グループに分かれて制作を開始しました。まずグループ毎に話し合いをし、メモ用紙にアイディアを書き出します。「私はこのテーマがいいと思う」「そのテーマなら、こんな形のパークはどう?」互いに意見を交換し合うことで、生徒同士が触発され、興味深いアイディアが次々と生まれてきます。話し合いがまとまった生徒は、栗原さんにテーマパークの構想を話し、アドバイスを仰ぎます。アイディアが固まった生徒たちは、マケットの土台となる段ボールに、マジックペンでエリアを書き込んでいきました。ボール紙や色紙、毛糸など、身近にある素材を集め、「これは丸めて、パークの中心にある大きな木にしようか」「この毛糸は髪の毛にしたらいいね」などと提案しながら手を動かし続けます。素材に実際に触れることで、アイディアが更に膨らんでいるようです。また、グループワークをする中で、自主的に作業の役割分担を考え、行動する生徒も多く見られました。

40kuribara04 40kuribara05

完成後に各グループがプレゼンテーションをしました。栗原さんは生徒の発表をじっと聞き、「テーマにオリジナリティがある」「一つの大きなテーマを複数のエリアで具体的に表現している」と、5つのテーマパークそれぞれの魅力を語ります。それぞれのエリアに配置されたちょっとした仕掛けや意匠を見て、「これは面白いね」と話す栗原さんの表情はとても楽しそうです。
最後に栗原さんは、ワークショップ前に強調した「コンセプト力」について再び触れました。「コンセプトを考えながら作っていくこと」が「実現に向け、努力すること」に繋がると栗原さんは話します。また、今回のワークショップでおこなったグループワークについては、複数人でテーマを決めることの大変さだけでなく、考えを伝え合うことの大切さを感じられたのでは、とコメントしました。
授業を振り返ると、生徒たちの表情が終始生き生きとしていたのが印象的です。「ここにはどんな素材を使えば良いかな?」悩んだ時も、すぐ隣にいる生徒が声をかけ、制作の手が止まることはありませんでした。グループワークで受けた刺激や、感じられた楽しさ、相手の意見を尊重すること…美術室に並んだ5つのテーマパークには、その全てが凝縮されているように思われました。

40kuribara06 40kuribara07


講師略歴
1980年群馬県出身。「アーティストは、自由の体現者であるべきだ」という考えを持ち、特定の表現スタイルにこだわらず、彫刻や絵画、インスタレーション、ビデオ、パフォーマンス、陶芸、映画など、あらゆる表現方法で意欲的に制作活動を続ける。2014年の「大館・北秋田芸術祭」で大館市大町の商店街にモニュメント《デッカい秋田犬》を制作。